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ガブリエル・フォーレ  Gabriel Faué (1845−1924) フランス
夜曲  詩:ヴィリエ・ド・リラダム Nocturne  Villiers de L'isle-Adam (1838-1889)

夜は大いなる神秘の上に
その青い宝石箱を開く
地上の花々の
天空の星たちの

まどろむ影たちは
絶えず照らしだされる
魅惑的な花々に
魅惑的な星たちに

暗いヴェールに包まれた私の夜
その魅惑と光りは
一輪の花 一つの星
私の愛と 君の美だ

La nuit, sur le grand mystère,
Entr'ouvre ses écrins bleus:
Autant de fleurs sur la terre,
Que d'étoiles dans les cieux!

On voit ses ombres dormantes
S'éclairer à tous moments,
Autant par les fleurs charmantes
Que par les astres charmants.

Moi, ma nuit au sombre voile
N'a, pour charme et pour clarté,
Qu'une fleur et qu'une étoile
Mon amour et ta beauté!

 地上に咲く花々と夜空の星、それを青い宝石箱にたとえた大変美しいイメージです。そして一番重要なのが第3節。私の夜の魅惑と光は愛ときみの美しさだけだという、とてもロマンティックな愛の詩です。
 フォーレの音楽は、緩やかな3拍子で、音楽を支える低音は、1拍目は繊細な第3音[g]から始まり、主音[es]は2拍目で響きます。これは音楽を安定させない表現となります。この場合はむしろ神秘的な、浮遊間を感じさせてくれ、詩の雰囲気を見事に表現しています。、そしてその2拍目の主音は、1、2節を通して一貫して響き続けます。これが不安定にゆれながらも安定しているという、相反する感覚を見事に両立させています。静かに最高音まで順次進行してゆくフレーズは、息をのむほど美しいです。第3節で主音[es]の連続は途絶え、これまでの雰囲気は保ちながらも、一番大事な心情を歌うべく、様々に転調してゆきます。そして歌の最後、[g]の音が長く伸ばされ手いる間にすっと調性が戻ってくるところは見事です。フォーレ歌曲の魅力が凝縮された作品と言ってよいでしょう。

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