フランス語の響きは、15の母音(そのうちの4つはフランス語特有の鼻音)、3つの半母音、17の子音からつくられます。
そしてその音節には2つの原則があります。 |
- 全ての音節は、ただ一つの母音だけを含むものでなければならない。
- 全ての音節は子音で始まり、母音で終わる。
- これには例外がある。
母音で始まる単語(enfent)。
単語内で母音が連続する。(cruel:cru-el)
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フランス語は、完全に母音を基礎とする言語といえます。
ですから、歌うときには、母音の響きがレガートにつながることがとても大切になります。 |
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1.諧調(アルモニー)について |
あまり聞き慣れない言葉ですが、フランスの詩においては「この詩はアルモニーが豊である。」というような表現が、詩の評価に使われます。諧調(L'harmonie)とは、一般的には音楽のハーモニー(和声)と同じ語源で、文字通り詩句の音楽と呼べる要素です。具体的には、2つないし3つの母音のまとまりで、音色によって互いに区別されます。表現力はなく、詩句の内容とは無関係です。 |
(3音節ずつの4つのグループで、第1と第3が、第2と第4が呼応している。)
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2.歌曲におけるフランス語、会話との相違点 |
歌曲におけるフランス語の発音は、一般会話と少し異なる点があります。 |
- 会話では発音されない[e]が、発音される場合がある。
balancée(バランセゥ)
- 会話では軟口蓋(上あごの奥)を震わせて発音する[r]は、巻き舌で発音される。(イタリア語と同じ)
- リエゾンが多くなる。(単語の終わりの子音が次の単語の始まりの母音と結びついてい発音されること。この子音は単独では発音されない。) フランス語は、母音が続くことを嫌う感覚があり、リエゾンによって、母音の連続を回避します。これは、会話より散文朗読、散文より詩を朗読する場合の方が多くなり、歌う場合は一層多くなる傾向があります。リエゾンには、必ずしなければならないものと、禁じられたものと、随意(どちらでもよい)のものがあります。
petit(プティ)が、petit enfant(プティタンファン)となる。
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