2024年

 

谷篤ドラマティックリーディング2024
  モーツァルトの質問

助成:公益財団法人 朝日新聞文化財団/公益財団法人 岡田文化財団(津公演)

津公演
6月2日(日) 14:00開演 (13:00開場)
13:20プレトーク
三重県総合文化センター 第1リハーサル室
主催:このいち芸術舎
前売:三重県文化会館チケットセンター
前売3,000円/当日3,500円
高校生以下1,000円
 
新潟公演
6月9日(日)13:15開演 (13:00開場)
プレパフフォーマンス〜プレトーク〜本公演
りゅーとぴあ スタジオA
主催:谷篤公演実行委員会
予約:谷篤公演新潟事務局
090-5335-9475(山際)
前売3,000円/当日3,500円
高校生以下1,000円

旭川公演
6月15日(土) 14:00開演 (13:00開場)
13:20プレトーク
小西音楽堂
水野ピアノ調律事務所
予約:水野ピアノ調律事務所
090-3111-9844
前売3,000円/当日3,500円
高校生以下1,000円

札幌公演
6月16日(日) 14:00開演 (13:00開場)
13:20プレトーク
主催:札幌コンセルヴァトワール
問合せ:札幌コンセルヴァトワール
011-822-6984
一般3,000円
高校生以下1,000円

網走公演 
6月22日(日) 13:15開演 (13:00開場)
プレパフフォーマンス〜プレトーク〜本公演
あばしりエコーセンター2000 音楽練習室
主催:あばしり声の教室
後援:網走市教育委員会
予約:あばしり声の教室
090-7058-1411(市岡)
前売3,000円/当日3,500円
高校生以下1,000円
 
川越公演
7月10日(日) 14:00開演 (13:00開場)
13:20プレトーク
ウェスタ川越 小ホール
主催:食の会、歌の会
予約:食の会、歌の会
090-4000-2723(今井)
前売2,5000円/当日3,000円
高校生以下1,000円
 
東京公演
7月14日(日) 14:00開演 (13:00開場)
13:20プレトーク
トーキョーコンサーツ・ラボ
主催:このいち芸術舎
予約:このいち芸術舎
前売3,000円/当日3,500円
高校生以下1,000円
 
 

 第二次世界大戦の史実をもとに、為政者による音楽の悪用によって起きる悲劇と、音楽が人を幸せにする奇跡を描いた物語です。
 音楽には人の心に強く働きかける力があります。その在り方によって、人生は素晴らしいものにも、苦しいものにもなります。この物語は、社会において音楽はいかにあるべきかを問いかけています。音楽が単なる消費財として扱われ、その真価である深い精神性が軽んじられる現代、音楽を愛好する人たちのみならず、すべての人に是非とも聞いて欲しい作品です。

 世界的ヴァイオリニスト、パオロ・レヴィは、モーツァルトを演奏しない。モーツァルトについても、またプライベートな質問も一切受けつけなかった。
 両親はヴァイオリニストで、大戦中アウシュビッツで出会い、演奏家ゆえに生き延びることが出来た。それは耐え難い苦痛を乗り越えてのことだった。それがトラウマとなり、戦後、音楽から遠ざかる。二人は結婚し、子供が授かり、パオロと名付けた。パオロは成長につれ、ヴァイオリンに興味を抱くようになる。そしてある偶然(必然)から師と出会い、ヴァイオリニストになることを夢見る。その師は両親とともにアウシュビッツの悪夢を乗り越えた一人だった。パオロを通じ、3人は奇跡的に再会する。そしてパオロの奏でる音楽は両親の心の傷を癒やしていく。父は息子に感謝し、彼の夢を応援する。だが一つだけ願いとして、アウシュビッツで散々演奏させられたモーツァルトだけは演奏しないで欲しいと頼む。そして、パオロはモーツァルトを演奏しないヴァイオリニストとなる。 
 時は経ち、両親も他界する。パオロは50歳の記念コンサートで、モーツァルトを演奏することを密かに決意する。
 そんなとき、新米記者が彼にインタビューすることになった。極度の緊張のあまり、タブーであったプライベートな質問「ヴァイオリンを始めたきっかけは?」と尋ねてしまう。質問に戸惑いながらも、パオロは真実を明かす時と悟り、両親と師の悪夢の体験と、ヴァイオリニストになった経緯を打ち明けるのである。

 「モーツァルトはおことわり」という題名で邦訳が出版されています。しかし朗読には向かない文体なので、今回、朗読のために翻訳しました。 作曲を高橋宏治氏に委嘱。彼は東京藝大大学院を修了し、コペンハーゲンに学ぶ。コペンハーゲンフィルの委嘱作品をはじめ、映像作品やダンスとのコラボ音楽、オペラも手掛けています。これからを大いに期待される作曲家です。

【ご案内】 
公演に先立ち、プレトークがございます。新作「モーツァルトの質問」と歌う曲について、その背景や内容を解説いたします。
また、網走、新潟では、有志による朗読と歌のプレパフォーマンスがございます。

デザイン:谷 篤

2023年

 
ひとときの歌 第22回 
  シューベルト 冬の旅

2023〜4年
網走公演 
12月3日(日) 14:00開演 (13:30開場)
あばしりエコーセンター2000 エコーホール
主催:合唱団あばしり 後援:網走市教育委員会/網走市文化連盟
予約:岩尾(いわお)
090-3893-1905 iwao.hirotoshi@gmail.com
前売3,000円/当日3,500円
高校生以下1,000円

旭川公演
10月8日(金) 14:00開演 (13:30開場)
神楽公民館 木楽輪(きらりん)
水野ピアノ調律事務所
予約:水野ピアノ調律事務所
090-3111-9844
前売3,000円/当日3,500円
高校生以下1,000円

札幌公演
10月10日(日) 14:00開演 (13:30開場)
主催:札幌コンセルヴァトワール
 
津公演
12月17日(日) 14:00開演 (13:30開場)
三重県総合文化センター 第1リハーサル室
主催:このいち芸術舎
前売:
三重県文化会館チケットセンター
前売3,500円/当日4,000円
高校生以下1,000円
 
新潟公演
1月21日(日)14:00開演 (13:30開場)
りゅーとぴあ スタジオA
主催:谷篤公演実行委員会
予約:谷篤公演新潟事務局
090-5335-9475(山際)
前売3,000円/当日3,500円
高校生以下1,000円
 
東京公演
1月28日(日) 14:00開演 (13:30開場)
日暮里サニーホールコンサートサロン
主催:ひとときの歌実行委員会
予約:このいち芸術舎
前売3,500円/当日4,000円
高校生以下1,000円
 
 「冬の旅」は、一つの物語の終わりから始まります。ある若者が美しい五月に街にやって来て、娘と恋し、幸せな夏から秋を過し、結婚まで考えるようになります。ところが状況は一変し、娘は別の金持ちと結婚することになります。元々異邦人の彼は厄介者となり、冬の夜、人目を避け、あての無い旅に出るのです。これが「冬の旅」の始まり。若者が失恋の苦悩を胸に冬の原野をさまよう話ですが、失恋は旅を始める単なる動機にすぎません。なぜなら、娘の具体的描写は全く無く、「綺麗な娘」とか「愛しい人」という表現だけで、その人物像は描かれていないのです。これは愛を描いた作品としてはあり得ないことです。つまり「冬の旅」は、恋がテーマではないのです。描かれているのは、社会から弾き出された者が、居場所を求めて銀世界をさまよう、孤独な心の軌跡なのです。
 シューベルトは31歳でこの世を去りました。冬の旅はその最晩年に作曲されます。当時はほとんど社会に認められてはおらず、おそらく冬の旅の孤独に自らの想いを重ね合わせていたのではないでしょうか。そしてそれは時を超え、競争と効率優先主義がもたらす現代の孤独とも共鳴するものです。だからこそ、この名作は今も我々の心に強く訴えかけ、感銘と深い慰めを与えてくれるのだと思います。
 より深く味わっていただくために、演奏に先立ち日本語訳詞を朗読いたします。また網走、新潟公演の前日には、冬の旅を解説するレクチャーが予定されています。皆様のご来場をお待ちしております。

【ご案内】 
網走、新潟は公演前日に「解説・冬の旅」レクチャーがございます。
詩と音楽、両面から「冬の旅」の魅力、聴きどころを解説いたします。
また谷篤の訳詞、曲目解説をこちらに用意いたしました。(下記リンク)
公演の手引きとして、ぜひ事前にご一読くださいませ。

訳詞1はドイツ語の意味を極力日本語に置き換える形の翻訳です。
日本語としては多少不自然ですが、ドイツ語のニュアンスを感じていただけると思います。
訳詞2はそれをもとに日本語として自然な表現になるよう意訳しました。
要約は詩をもとにして主人公の若者の気持ちを一人称の独白でまとめました。
言葉では直接表現されていない心情も汲み取ってみました。

訳詞 1 ドイツ語の意味に対応した翻訳
訳詞 2 日本語として自然な表現の翻訳
要約 詩の要約と補足
デザイン:谷 篤

谷 篤 ドラマティックリーディング2023 
愛のかたち 朗読 ピアノ 歌で綴る

2023年
6月4日(日)13:15開演(13:00開場) 三重県総合文化センター第1リハーサル室(津公演)
6月18日(日)13:15開演 (13:00開場) 網走エコーセンター2000 音楽練習室(網走公演)
6月25日(日)14:00開演 (13:30開場) 神楽公民館 木楽輪(きらりん)(旭川公演) 
7月9日(日)14:00開演 (13:30開場) トーキョーコンサーツラボ(東京公演)
9月2日(土)13:15開演 (13:00開場) りゅーとぴあ Aスタジオ(新潟公演)
谷 篤:朗読/ピアノ:揚原祥子

<歌手によるドラマティックリーディング>

ドラマティックリーディングとは、文章を声に出して読む単なる「音読」ではなく、内容を深く読み取り、声によって劇的、芸術的に文学作品を再表現する朗読です。
 声による芸術表現という意味では、朗読と歌は共通しています。歌には旋律があり、朗読にはないだけとも言えるでしょう。この違いは其々の表現の可能性と限界を相互に照らし出し、豊な表現に至る方向を指し示してくれます。歌うことで培われた声、技術、感性は、朗読表現をより豊かにし得るものです。
 「歌は語るように、語りは歌うように」これは美空ひばりの言葉です。不出生の名歌手が残した表現の神髄。歌うことと語ること、両方を実践してきたからこそ出来る朗読があります。皆様のご来場を心よりお待ちしております。

 デザイン:谷 篤
  

1.Sei mir gegrüßt 〜我が挨拶を (シューベルト) 
2. Chanson Triste 〜悲しき歌 (デュパルク)
3.宵待草 (竹久 夢二/多 忠亮/谷篤:編曲) 
4.金髪のジェニー (フォスター/谷篤:訳・編曲) 
5. 糸 (中島 みゆき)



イノック・アーデン
A.テニスン:原作/R.シュトラウス:作曲/谷 篤:翻訳

  「イノックアーデン」は、ピアノ音楽を伴う朗読 『メロドラマ』 というスタイルの作品。ドイツロマン派の劇音楽を代表し、オペラ作曲家として名高いR.シュトラウスの作品の中でも、親しみやすく分かりやすいという点で傑出したものです。原作はイギリスの詩人A.テニスンによる散文詩。1864年初版で、即日1万5千部を売り尽くしたという歴史的ベストセラー。キリスト教的救済がテーマですが、三人の幼馴染みの愛と友情の物語でもあります。登場人物、イノック、アニイ、フィリップには、それぞれのライトモティーフ(指示動機)が設定されていて、それを場面や心情に応じて様々に変容させることで、言葉だけでは表現しきれない心理状態や出来事、ストーリー展開の暗示などを巧みに描いてゆきます。ピアノ音楽は単なる気分や物語の背景を表現するだけでなく、ストーリーと密接な関係を持ち、有機的に表現を創り上げてゆきます。

 【あらすじ】
ある小さな港町に育った幼馴染み三人の愛と友情の物語。二人の若者はアニイに想いを寄せ、勇敢な船乗りイノックは愛を打ち明け、優しい粉挽屋フリップは想いを心に秘める。アニイはイノックを愛し、2人は結婚する。幸福な七年の暮らし、子供にも恵まれる。ある時イノックは大怪我を負い、一時的に失業してしまう。その状況に彼は将来を案じ、稼ぐために遥かな東洋への航海へ出かける事を決意する。留守を守るアニイは小間物屋を営むが、上手くいかず、貧乏になってゆく、ずっと想いを寄せていたフィリップは、アニイ一家の窮状を見過ごせず、援助の手を差し伸べる。やがて十年が経ち、アニイはイノックの死を悟り、子供たちの将来を考え、フィリップの誠意に応えるべく彼と結婚する。しかしイノックは生きていた。難破し、流れ着いた無人島で故郷に帰ることを支えに生き延びていた。そして漂着より十数年の後、別の船に助けられ、イノックは故郷へと帰り着く。だが、懐かしい家にはもう暮らしはなく、彼は仕方なく港の安宿に逗留する。宿の女将はイノックの変わり果てた姿に本人だとは気づかず、街の噂話を語る。それはアニイ一家とフィリップの話。イノックは妻と子供たちの今の幸福に安堵し、それを支えてくれたフィリップに感謝する。そしてその幸福を守るために真実を心に秘め、その町で暮らすのである。自らの死を覚悟した時、イノックは全てを女将に打ち明け、この世を去る。悲しくも気高い愛と友情の物語である。


谷篤とカオスな仲間たち 2023
2023年5月21日(日) 14:30開演  北見芸術文化ホール・音楽ホール
主催:きょうの音楽を考える会  谷篤:監修

 デザイン:谷 篤

1. 藤田 扇
 ・アイノカタチ  GReeeN・詞/曲
 ・The Best Of Me  D. Foster・詞/J. Lubbock and R. Marx・曲

2. 伊藤 真名美
 ・ベトナムの子供たちへ   伊藤 真名美・詞/曲  
 ・紅葉         高野 辰之・詞/岡野 貞一・曲/谷 篤・編曲

3. 合唱団きたみ
 ・ロマンス   P. Bourget・詞/C. Debussy・詞・曲/谷 篤・訳/編曲
 ・歌の翼に   H.Heine・詞/J. L. F. Mendelssohn Bartholdy・曲/谷 篤・訳/編曲
 ・春の日の花と輝く   Th. Moore・詞/アイルランド民謡/谷 篤・訳/編曲
    
4. 沙羅の会
 ・リンデン リー   W.Barnes・詞/R. Vaughan=Williams・曲/谷 篤・訳/編曲
 ・二人でお茶を   I. Caesar・詞/V. Youmans・曲/谷 篤・訳/編曲
 ・シャル ウィー ダンス?   O. Hammerstein II・詞/R. Rodgers・曲/岩谷 時子・訳詞/谷 篤・編曲
 
5. 合唱団あばしり
 ・ひこうき雲     荒井 由美・詞/曲/谷 篤・編曲
 ・糸        中島 みゆき・詞/曲/谷 篤・編曲

6. 奥村 愛子
 ・道       Utatda Hikaru・詞/・曲
 ・Play A Love Song   Utatda Hikaru・詞/・曲

7. 横畠 桂子  
 ・Sento nel core     A. Donaudy・詞/S. Donaudy・曲
 ・Amorosi miei giorni   A. Donaudy・詞/S. Donaudy・曲
 ・O del mio amato ben  A. Donaudy・詞/S. Donaudy・曲
 
8. おがわ ちから  
 ・Ave Maria (カッチーニのアヴェマリア)  V. Vavilov・曲
 ・Stranger In Paradise    G. Forrest & R. Wright・詞/曲

9. 谷 篤  
 ・Chanson triste    J. Lahor・詞/H. Duparc・曲
 ・Phidylé        L. de Lisle・詞/H. Duparc・曲

10. 全員合唱
 ・小さな大人 大きな子供   谷川 俊太郎・詞/山本 純ノ介・曲  

司会/指揮・谷 篤/ピアノ・西尾 朋子


2022年

 
ひとときの歌 第21回 
  コトノハ 飛舞し うたとなり

2022年
網走公演 
9月17日(日) 14:00開演 (13:30開場)
あばしりエコーセンター2000 エコーホール
  主催:合唱団あばしり 後援:網走市教育委員会/網走市文化連盟
東京公演旭川公演
10月2日(日) 14:00開演 (13:30開場)
トーキョーコンサーツ・ラボ
  主催:このいち芸術舎
旭川公演
10月16日(土) 14:00開演 (13:30開場)
神楽公民館 木楽輪(きらりん)
  水野ピアノ調律事務所
津公演
10月30日(日) 14:00開演 (13:30開場)
三重県総合文化センター 第1リハーサル室
  主催:このいち芸術舎
  古来より人は、現実では満たされない想いを歌に託してきました。その一つは祈りです。祈りとは日常では相まみえることの出来ない神や死者への問いかけと言えますし、あらゆる宗教で祈りは歌われます。もう一つは誰かを想う気持ちです。古今東西、最も多く歌われてきたのは人を恋うる想い、それも叶わぬ恋心と言えるのではないでしょうか。ですから歌には現実を超えたいと願う精神の高まりがあります。また私たちは言葉で想いを伝えますが、言葉に出来るのはそのほんの一部です。想いが募るほどそれは言葉にはならず、その実感は心に渦巻いています。これを伝えられるのは、言葉より高まった歌なのです。歌は悲しみを慰め、嘆きを癒やします。それは叶わぬ想い、言葉にならない実感が、声として体の外へ解き放たれるからではないでしょうか。人は歌うことで、悲しみや嘆きを生きる力に変えてきたのだと思います。
 歌手は身体が楽器です。ある美意識に叶う声を習得しようとするとき、身体を楽器として操ることが必要です。これは発声法、日本的に言うなら型(カタ)と呼べるものです。型なくしては、あらゆる技芸は成り立ちません。しかしそれは、想いを見事に伝えるための手段です。ですから想いと繋がりのない型だけの習得に留まるなら、中身の薄いハリボテの声、になります。母語で型を習得しようと努めるとき、言葉は想いと繋がっていて、そこには実感があります。しかし外国語ではこの実感は乏しく、身体の操作だけになりがちです。そうして磨かれた声は、それがどんなに美意識に叶う美声であったとしても、想いが高まって響き出す歌、悲しみや嘆きを生きる力に変える歌にはならないのではないでしょうか。
 私が声楽を学び、数年経ったときにこの壁に突き当たりました。イタリア語やドイツ語で声の型を習得しようと励んでいたその頃、ある日本語の歌を歌いたいと思いました。でも実際に歌ってみると、違和感があり、気持ちが悪かったのです。子供の頃、田舎の山間で気持ちの赴くままに自由に歌っていたのに、歌を勉強したらこんなにも不自由になってしまったと、ショックを受けました。その時、実感の乏しい外国語を歌っている間は気付けなかった、言葉の奥に息づく想いが高まって歌になるということを自覚したのです。それからはハリボテの壁を超える摸索が始まりました。身に付けてきたことを壊し、選び、自由になり、型を踏襲しながらも実感から響き出す歌を再発見する。それは今でも試行錯誤の進行形です。
 歌は、想いが高まり、日常を超えてその実感を誰かと分かち合いたいと切に願う営みだと思います。「うた」の語源は「うったう」です。私たち日本人にとって歌はうったうことだともいえるのです。自らの想いをうったうとき、大切なのは切なる実感と、それを受け止めてほしいと願う気持ちだと思います。それを見事に響かせるために型はあるのです。
 「コトノハ 飛舞し うたとなり」 これは私が求めている歌の理想です。

【ご案内】 
コンサートに先立ち、13:00からコンサートの聴きどころを解説するレクチャーがあります。
当日受付でワンコイン500円をお支払いください。
レクチャー終了後は、そのまま会場にて開演をお待ちいただけます。
コンサートのみご来場の方は、レクチャー終了後の13:40よりご入場頂けます。
当日発熱などの症状がある場合はご来場をご遠慮くださいますようお願い申し上げます。
その場合、前売チケット代金は払戻しいたしますので、後日ご連絡下さいませ。
また会場では常時マスクの着用をお願い申し上げます。

デザイン:谷 篤

T 林 光・曲
1 うた   
2 共に生きる町
3 ばらを植えよう
4 雨の音楽
5 明日ともなれば(新しい歌)
 

U 谷川 賢作・曲
1 そのひとがうたうとき
2 旅上
3 詩人は辛い
4 冬の夜
5 湖上
 
 
V 歌曲集『みやこわすれ』
1 薔薇の香りの夕ぐれ
2 はっか草
3 すみれ
4 みやこわすれ
 
 
W Side-B ブリテン諸島の歌
1 The Death Of Queen Jane
 王妃ジェーンの死   
2 広き流れ
 The Water Is Wide 
3 アニー・ローリー
 Annie Laurie 
4 スカボロー・フェアー
 Scarborough Fair
5 春の日の花と輝く
 Believe Me, If All Those Endearing Young Charms
6 ロッホ・ローモンド
 Loch Lomond

 
佐藤 信・詩
金 明植・詩
ポーランド古謡/工藤 幸雄・訳詩
J.S.コッターJr.・詩/木島 始・訳詩/谷 篤・編曲
F.G.ロルカ・詩/長谷川 四郎・訳詩
 

谷 篤・編曲
谷川 俊太郎・詩
萩原 朔太郎・詩
中原 中也・詩
中原 中也・詩
中原 中也・詩
 
 
野呂 昶・詩/千原 英喜・曲
 
 
 
 
 
 
谷 篤・訳詩/編曲
イングランド古謡
 
スコットランド民謡
 
W.ダグラス・詩/J.D.スコット夫人・曲
 
イングランド古謡
 
Th.ムーア・詩/アイルランド民謡
 
 
スコットランド民謡
 


谷 篤 ドラマティックリーディング2022 
2022年6月
4日(土)13:15開演(13:00開場) 網走エコーセンター2000 音楽練習室(網走公演)
11日(土)14:00開演 (13:30開場) 三重県総合文化センター第1リハーサル室(津公演)
12日(日)14:00開演 (13:30開場) トーキョーコンサーツラボ(東京公演)
19日(月祝)14:00開演 (13:30開場) りゅーとぴあ Aスタジオ(新潟公演)
谷 篤:朗読/ピアノ:揚原祥子

<歌手によるドラマティックリーディング>

ドラマティックリーディングとは、文章を声に出して読む単なる「音読」ではなく、内容を深く読み取り、声によって劇的、芸術的に文学作品を再表現する朗読です。
 声による芸術表現という意味では、朗読と歌は共通しています。歌には旋律があり、朗読にはないだけとも言えるでしょう。この違いは其々の表現の可能性と限界を相互に照らし出し、豊な表現に至る方向を指し示してくれます。歌うことで培われた声、技術、感性は、朗読表現をより豊かにし得るものです。
 「歌は語るように、語りは歌うように」これは美空ひばりの言葉です。不出生の名歌手が残した表現の神髄。歌うことと語ること、両方を実践してきたからこそ出来る朗読があります。皆様のご来場を心よりお待ちしております。

 デザイン:谷 篤
  

竹内浩三・青春の詩
  
 竹内浩三の詩によって構成。彼が愛聴したチャイコフスキー作曲「悲壮」「アンダンテカンタービレ」などの音源に加え、谷篤作曲のピアノによる付随音楽によって構成。彼が生前よく歌っていたという映画「風の又三郎」の主題歌を歌いながら登場し、又三郎が浩三に成り代わって語り始める。

 口 業
 よく生きてきたと思う 
 三ッ星さん   「星めぐりの歌」
 雨  * 
 五月のように *
 夜汽車  *
 メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルト    第二楽章
 あきらめろと云うが
 麦  *
 冬に死す
 宇治橋     第二楽章(ピアノ)
 愚の旗
 わかれ  *
 日本が見えない  *
 ぼくもいくさに征くのだけれど     「この道」
 演習一
 望 郷     映画「望郷」より
 山田ことば (風宮泰生の満州戦病死の報)     「アンダンテ カンタービレ」
 詩をやめはしない
 うたうたいは     「悲愴」より
 骨のうたう

【楽曲解説】
随所で演奏されるピアノ曲(*)は、今回の朗読のために作曲。 
映画「風の又三郎」主題歌 宮澤 賢治:作詞/杉原 泰蔵:作曲。 竹内が愛唱していたと伝え聞く。
「星めぐりの歌」 宮澤 賢治:作曲/谷 篤:編曲。 竹内は宮澤賢治を愛読していた。
「メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルト〜第二楽章」 Y.メニューイン:ヴァイオリン、 G.エネスク:指揮、 コロンヌ管弦楽団、1938年5月2日録音。
「この道」 谷 篤:編曲。
映画「望郷」 1937年(昭和12年)フランス映画。 原題は「ペペル・モコ」。
「アンダンテ カンタービレ」 チャイコフスキー:作曲。 諏訪根自子:ヴァイオリン、1934年録音。
竹内は自作「高円寺風景」で、『下宿に帰ったら、雨が降ってきた。 チャイコフスキーのアンダンテカンタビーレをかける。失恋したときなんかにかけると涙が出るレコードである』と書いている。
「悲愴〜第1楽章」 チャイコフスキー:作曲。 W.メンゲルベルク:指揮、コンセルトヘボウ管弦楽団、 1937年録音。竹内は応召の日、入隊へと出掛けるまでのひと時、自室にこもり、膝を抱くようにして『悲愴』を聞いていたという。


竹内 浩三
 三重県宇治山田市(現・伊勢市)吹上町に生まれる。 宇治山田中学校在学中、友人と回覧雑誌を製作。 1940(昭和15)年日本大学専門部(現藝術学部)映画科入学。 1942年宇治山田中学校時代の友人と同人誌『伊勢文学』創刊。 同年、日本大学を半年繰り上げで卒業、入営。 1945年4月9日、フィリピン・ルソン島にて戦死。(生死不明)
からたちの花  北原 白秋・詩/山田 耕筰・曲
曼珠沙華  北原 白秋・詩/山田 耕筰・曲
この道  北原 白秋・詩/山田 耕筰・曲
以上四曲 谷 篤・編曲
  



朗読とピアノのための 「鼓くらべ」  山本 周五郎:原作/谷 篤:作曲

鼓くらべ  山本 周五郎
  1903(明治36)〜67(昭和42)年。 山梨県生れ。 本名・清水三十六(さとむ)。 名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。 20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。 その後も多くの賞を固辞し、文芸評論家からへそ曲がりを意味する「曲軒(きょくけん)」と呼ばれた。 江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。
 「お留伊」は鼓の腕前が評判となっている絹問屋の娘。そこに現れる素性の知れぬ老旅絵師。彼はお留伊に、「優劣を争うことなどおやめないまし、音楽は人の世で最も美しいものでございます。」と音楽の価値を説く。彼の言葉にお留伊の心と眼は次第に開かれてゆくのである。身分も境遇も全く違う二人が芸術を通して出会い、互いに気持ちを通わせてゆく、心温まる物語。

朗読とピアノのための「鼓くらべ」
作曲に当たっては、音楽の表現力を信頼し、物語に寄り添いながら、音楽が語りすぎないように心掛けました。江戸時代のお話なので、日本音階を主に用いました。そしてそこに異なる響きを加えることで、情景や心情を印象的に描きたいと思いました。また人物の想いを語るところでは、日本音階に捉われることなく自由に作曲しました。物語終盤の弔いの場面では、幼い頃聞いた声明(浄土真宗)の旋律を、おぼろげな記憶を辿り、引用しました。
物語は江戸時代の金沢ですが、会話は標準語で書かれています。朗読では、金沢の風情を表現したいと思い、在住の高畑由美さんにご協力頂き、金沢弁のイントネーションを取り入れました。金沢は西と東の中間、言葉はそのどちらでもない独特の味わいがあります。     。




 

2021年

 

さあ、竹内浩三を語ろう 歌おう
2021年 11月23日(火・祝)  14:00開演 小俣図書館2階ホール
第二部:谷 篤 ドラマティックリーディング
主催:竹内浩三生誕100年記念事業実行委員会

伊勢出身の竹内浩三の詩と短編小説を朗読。

構成/演出:谷 篤
口 業
よく生きてきたと思う
メンデルスゾーンの
ヴァイオリンコンチェルト
ふられ譚
天気のいい日に
日本が見えない
勲 章
ぼくもいくさに征くのだけれど
演 習 一
望 郷
白い雲
うたうたいは
骨のうたう

せたがや歌の広場 第30回コンサート
2021年3月24日 玉川せせらぎホール
池辺 晋一郎・作曲「プラネタリウム」(たかはし けいすけ・詩)初演
バリトン:谷 篤/ピアノ:揚原 祥子

YouTubeでご覧いただけます。
13分44秒あたりからです。

谷篤とカオスな仲間たち 2021
2021年12月19日(日) 14:00開演  北見芸術文化ホール・音楽ホール
主催:きょうの音楽を考える会  谷篤:監修

 デザイン:谷 篤

1. 藤田 扇
 ・When The Good Times Come Again  Will Jennings・詞/Richard Kerr・曲

2. 奥村 愛子
 ・花束を君に   宇多田 ヒカル・詞/曲
 ・桜流し     宇多田 ヒカル・詞/曲

3. 合唱団あばしり
 ・菩提樹   W.ミュラー・詞/F.シューベルト・詞・曲/谷 篤・訳
 ・朧月夜    高野 辰之・詞/岡野 貞一・詞・曲/谷 篤・編曲
    
4. 伊藤 真名美
 ・グノーのアヴェマリア J.S.バッハ:Ch.グノー・曲/伊藤 真名美・詞
 ・般若心経    伊藤 真名美・曲
 ・スサノオ     石飛 裕子・詞/HANZO・曲

5. 重田 富美子
 ・はる         谷川 俊太郎・詞/寺嶋 陸也・曲
 ・とむらいのあとは   木島 始・詞/信長 貴富・曲
 ・すきとほつてゆれてゐるのは   宮澤 賢治・詞/林 光・曲
 ・ばらを植えよう    ポーランド古謡/工藤 幸雄・訳/林 光・曲

6. 和田弓とゆかいな仲間たち
 ・シューベルトの子守歌   F.シューベルト・曲/内藤 濯・訳
 ・紅葉     高野 辰之・詞/岡野 貞一・詞・曲/谷 篤・編曲

7. 横畠 桂子
 ・Canción al arbol del olvido 忘却の樹の歌    S.ヴァルデス・詞・/A.ヒナステラ・曲

 ・La Rosa y el Sauce バラと柳   S.ヴァルデス・詞・/C.グァスタビーノ・曲
 ・De los alamos vengo, madre  ポプラの林に行ってきた   スペイン民謡/J.ロドリーゴ・曲

8. 沙羅の会  
 ・音楽に寄せて    F. von ショーバー・詞/F.シューベルト・曲/谷 篤・訳/編曲
 ・蓮の花       H.ハイネ・詞/R.シューマン・曲/谷 篤・訳/編曲
 ・君は花のよう    H.ハイネ・詞/R.シューマン・曲/谷 篤・訳/編曲
 ・糸        中島みゆき・詞/曲/谷 篤・編曲
 
9. 合唱団きたみ  
 ・夢見る人     S.フォスター・曲/津川 主一・訳/谷 篤・訳/編曲
 ・深き河      黒人霊歌/谷 篤・訳/編曲

10. 谷 篤 コーナー  
 <音楽のお話>
 ・Die Forelle ます  C.シューバート・詞/F.シューベルト・曲
 ・Ständchen セレナーデ  L.レルシュタープ・詞/F.シューベルト・曲
 ・Widmung  献呈  F.リュッケルト・詞/R.シューマン・曲

11. 全員合唱
 ・原光     不思議な子供角笛/G.マーラー・曲/谷 篤・訳/編曲
 ・戸外にて   W.フォン デア ノイン・詞/R.シューマン・曲/谷 篤・訳/編曲

司会/指揮・谷 篤/ピアノ・村田 孝樹

 

ひとときの歌 第20回 
  軌跡 今も心に響く歌

2021年
津公演 
10月17日(日) 14:00開演 (13:30開場)
三重県総合文化センター 第1リハーサル室 
  主催:三重歌曲愛好会/前売:三重県文化会館チケットセンター
旭川公演
10月23日(土) 14:00開演 (13:30開場)
神楽公民館 木楽輪(きらりん)
  水野ピアノ調律事務所
東京公演
10月30日(土) 14:00開演 (13:30開場)
トーキョーコンサーツ・ラボ
  主催:このいち芸術舎
網走公演
11月14日(日) 14:00開演 (13:30開場)
あばしりエコーセンター2000 エコーホール 
  主催:合唱団あばしり 後援:網走市教育委員会/網走市文化連盟
 学生の頃、歌の修練に行き詰まり、悶々とする日々がありました。そんなある日、ふと楽譜を開いてある歌曲のピアノパートを何気なく弾いてみました。するとなんとも美しい響きが立ち上がってきたのです。私はたちまち魅了され、夢中で弾き続けました。その時、声の技術にこだわり、執われるあまり、音楽の美しさを味わうことを忘れていた自分に気付いたのです。思えばこれが歌曲の深淵なる魅力と向かい合う、今に続く道のりの第一歩だったのです。
 それから数年後、歌曲に魅力を覚えながらも、どこか自分からは遠いもどかしさを感じていた時、林光さんが作曲したソングと出会いました。心を突き動かされるような感覚に覆われ、自分の進むべき道を指し示す光を見たように感じました。そしてその場で、当時は面識のない林さんに唐突にもお声がけし、自分の気持ちを伝えました。林さんは笑って、私の想いに応えて下さいました。この時から、日本人として母語を歌うことを自分の演奏の中心に据えたのです。
 そして母語を歌う、日本語を自分の言葉として歌うという実践を通して、それまで感じていた外国語歌曲との距離が次第に縮まり、より身近に感じられるようになってきました。母語を歌うことで、言葉と向かい合い、咀嚼し、実感出来るようになって初めて自分の歌になるという事を自覚し、それは何語でも同じだとわかったのです。
 そして歌曲の味わい深い魅力を伝える場として「ひとときの歌」を企画開催しました。それは私のライフワークとなり、20回を迎えます。今回はその軌跡を辿り、これまでに出会った数多の歌曲から、今も心に響く歌を選びました。
 先行き不透明なストレスの多い今、歌曲をともに味わい、このコンサートが皆様の慰め、癒しのひとときとなりましたら幸いです。ご来場を心よりお待ちしております。     
【ご案内】 
コンサートに先立ち、13:00から演奏曲目の聴き処を解説するレクチャーがあります。12:45開場です。
レクチャー終了後はそのまま会場にて開演をお待ちいただけます。また入退場も随時可能です。
コンサートのみご来場の方は、レクチャー終了後の13:40よりご入場頂けます。
感染対策として、会場では常時マスクの着用をお願い申し上げます。
また各ステージ毎に、5分・10分・5分の休憩を挟み、場内換気を行います。
デザイン:谷 篤

T ドイツ歌曲
1 音楽に寄せて     F.シューベルト
2 私の薔薇           R.シューマン
3 調べのようにそっと私を過ぎる   J. ブラームス
4 あした!              R. シュトラウス
5 真夜中に           G. マーラー

U フランス歌曲
1 マンドリン           G. フォーレ
2 アルページュ      G. フォーレ
3 溜息                 M. ラヴェル
4 パリの女のバラード  C. ドビュッシー
5 やさしく             É. サティ

V そのほかの国の歌
1 ひとときの音楽   H. パーセル
2 リンデン・リー      R. ヴォーンウィリアムズ
3 木立が悲しげにざわめく   コダーイ Z.
4 忘却の樹の歌    A. ヒナステラ
5 秘められた夜のしじまの中で     С. ラフマニノフ

W 日本の歌
1 赤とんぼ           三木 露風/山田 耕筰/谷 篤・編
2 舟歌−片恋       北原 白秋/團 伊玖磨 
3 くさつた蛤         萩原 朔太郎/吉川和夫 
4 春宵感懐          中原 中也/谷川 賢作/谷 篤・編曲
5 ねがい              佐藤 信/林 光
6 すきとほつてゆれてゐるのは   佐藤 信/林 光


An die Musik         Franz von Schober / Franz Schubert
Meine Rose           Nikolaus Lenau / Robert Schumann
Wie Melodien zieht es mir leise    Klaus Groth / Johannes Brahms
Morgen!                John Henry Mackey / Richard Strauss
Um Mitternacht    Friedrich Rückert / Gustav Mahler



Mandoline               Paul Verlaine / Gabriel Fauré
Arpège                   Albert Samain / Gabriel Fauré
Soupir                     Stéphane Mallarmé / Maurice Ravel
Ballade des femmes de Paris     François Villon / Claudee Debussy
Tendrement           Vincent Hyspa / Érik Satie


Music for a while  John Dryden / Henry Purcell
Linden Lea           Willam Barnes / Ralph Vaughan Williams
Búsan csörög a lomb             Kölcsey Ferenc / Kodaly Zoltan
Canción al árbol del olvido     Fernán Silva Valdés / Alberto Ginastera
Въ молчаньи ночи тайной       Афанасий Феt / Серге´й Рахма´ниноb

 


君に歌う
2021年4月25日(日)  14:00開演 あばしりエコーセンター2000 エコーホール
谷篤(バリトン)/揚原祥子(ピアノ)
主催:合唱団あばしり/後援:網走市教育委員会/網走市文化連盟

 

 

 

デザイン:谷 篤

ナツカしい歌  北原 白秋・作詩/山田 耕筰・作曲/(1〜3:谷 篤・編曲)
1. からたちの花 
2. 曼珠沙華
3. この道 
4. 鐘が鳴ります
5. 六 騎

ロマン的歌曲
1. あきらめ (ベートーヴェン) Resignation L.van Beethoven 
2. 菩提樹 (シューベルト) Der Lindenbaum F. Schubert
3. 献 呈 (シューマン)  Widmung R. Schumann
4. マルリングの鐘 (リスト) Ihr Glocken von Marling Liszt F.
5. 私はこの俗世を離れ (マーラー) Ich bin der Welt abhanden gekommen G. Mahler


ココロに沁みる歌
1. 悲しくてやりきれない (ザ フォーク クルセダーズ) サトウ ハチロー・作詞/加藤 和彦・作曲
2. 翼をください (赤い鳥) 山上 路夫・作詞/村井 邦彦・作曲
3. ひこうき雲 (荒井 由実) 荒井 由美・作詞/作曲
4. 島 唄 (THE BOOM 宮沢 和史) 宮沢 和史・作詞/作曲
5. 糸 (中島 みゆき)  中島 みゆき・作詞/作曲

それぞれのステージ名の頭文字 『ナ』 『ロ』 『コ』 を組み合わせると『君』になります。後ろから読めば「コロナ」。
ライヴの録画を後日、配信。

 

2020年

池辺晋一郎歌曲コンサート
「池辺晋一郎歌曲集」出版記念
2020年 11月25日(火・祝)  19:00開演 トーキョーコンサーツ・ラボ
小林沙羅(ソプラノ)/谷篤(バリトン)
主催:株式会社 東京コンサーツ

・マザーズ・デイ
・恋する猫のセレナーデ
・バラ泥棒
・歌(新川和江)
・歌(谷川俊太郎)
・ロシアンセンチメント
・春のビューグル
・風の子守歌
・眠っちゃいけない子守歌
・天国が落ちる
・古廟─山西省太原近郊にて
・名はアクアマリンのアクア
・片恋
・あの夏のまま
・ガリバー
・ふるさとは
・ちょっといい朝

2019年

ひとときの歌 第19回 
  マーラー  魂の故郷を求めやまぬ心 その愛と苦悩の調べ

2019年
津公演 
9月16日(月祝) 14:00開演 (13:30開場)
三重県総合文化センター 第1リハーサル室 
  主催:三重歌曲愛好会/前売:三重県文化会館チケットセンター
東京公演
10月6日(日) 14:00開演 (13:30開場)
JTアートホール アフィニス
  主催:このいち芸術舎
網走公演
10月12日(土) 14:00開演 (13:30開場)
あばしりエコーセンター2000 エコーホール 
  主催:合唱団あばしり 後援:網走市教育委員会/網走市文化連盟
札幌公演
10月14日(月祝) 14:00開演 (13:30開場)
札幌コンセルヴァトワール カノンホール
  主催:札幌コンセルヴァトワール
旭川公演
11月3日(日祝) 14:00開演 (13:30開場)
神楽公民館 木楽輪(きらりん)
  水野ピアノ調律事務所
谷 篤・バリトン&朗読 / 揚原 祥子・ピアノ
歌曲をもっと身近に、気楽に、存分に・・・・。歌曲の素晴らしさを多くの人に味わって頂きたいという思いからこのシリーズを始めました。
まず日本語訳詩を朗読し、詩の世界を味わって頂きます。朗読は単に言葉の意味を音声で伝えることではなく、言葉の背景やそこに潜む深い心理までをも伝え得る表現です。そこに音楽のインスピレーションをも加味ながら詩を朗読し 、続いて歌曲として聴いて頂きます。

津、網走、旭川公演に先立って、それぞれレクチャーが予定されています。
9月15日(土)19:00開場・19:10〜20:40
三重県総合文化センター第一リハーサル室
   
10月11日(金)18:40開場・19:00〜20:30
エコーセンター音楽室
   
11月2日( 土)18:10開場 18:20〜19:50
神楽公民館 木楽輪
   
 マーラーは生前より偶像視され、その音楽は今も多くの人を惹きつけてやまないのですが、その魅力について指揮者のG.ショルティはこう端的に述べています。『聴衆をこれほど惹きつけるのは、彼の音楽に、不安、愛、苦悩、恐れ、混沌と行った現代社会の特徴が現れているからだろう』。  

1.「さすらう若人の歌」:マーラーが20代半ばに作曲した歌とピアノによる最初の連作歌曲集で、30代はじめにはオーケストラ用にも改訂されています。詩はマーラー自身によるもので、若者の悲恋がテーマです。シューベルトの「冬の旅」、「美しき水車屋の娘」のモチーフが取り入れられ、先人へのオマージュが感じられます。また第2、4曲は交響曲第1番に転用され、当時の彼のお気に入りと言えるでしょう。  

2.「亡き子を偲ぶ歌」:詩人リュッケルトが二人の子を相次いで亡くした体験を元に書いた425編の詩から5編を選び、マーラーが41〜44歳の時に作曲しました。その4年後に愛娘マリアを本当に亡くすという悲劇が起きたのですが、マーラーは知人への手紙にこう綴っています。『私は、自分自身の子供を亡くしたと想定して書いたのだ。もし本当に私の娘を失ったあとであったなら、私はこれらの歌が書けたはずがない』。マーラーの円熟した作風が、詩の情感を一層深く表現し、悲しみを超越した趣すら感じられます。  

3.「リュッケルト歌曲集」:マーラーが41〜42歳の時に作曲した、5曲からなる連作歌曲集で、今回は3曲を歌います。漂う香りに感じる幸せな愛を歌った「私は仄かな香りを吸った」。孤独と向かい合い苦悩する心を描いた「真夜中に」。世間から逃れ、自らの精神世界に静かに内向してゆく「私はこの世界から離れて」。いずれも深く心を打つ名曲です。

 そしてSide-Bとして、私の編曲によるイギリス、アメリカの歌を歌います。原曲の魅力を大切にし、少し違う角度から光を当て、私なりの想いを託しました。  歌に先立ち、日本語訳詩を朗読いたします。歌手がマイクなしで朗読するスタイルは、あまり例がありません。マイクを通さない肉声だけが伝えられるものと、そこに生まれる深い共感こそが演奏の真価であると思い、実践しております。
 皆様のご来場を心よりお待ちしております。
デザイン:谷 篤

G.マーラー:作曲

1.さすらう若人の歌
    〜Lieder eines fahrenden Gesellen

1. Wenn mein Schatz Hochzeit macht
2. Ging heut' morgens übers Feld
3. Ich hab' ein glühend Messer
4. Die zwei blauen Augen


2.亡き子をしのぶ歌
  〜Kindertotenlieder

1. Nun will die Sonn' so hell aufgeh'n
2. Nun seh' ich wohl, warum so dunkle Flammen
3. Wenn dein Mütterlein
4. Oft denk' ich, sie sind nur ausgegangen
5. In diesem Wetter!


3. リュッケルト歌曲集 より
   〜Rückert-Lieder

1.Ich atmet' einen linden Duft> 
2.Um Mitternacht 
3.Ich bin der Welt abhanden gekommen

4.ピアノソロ

1. マーラー:アダージェット(交響曲第5番より第4楽章)
    〜Adagietto

2. シューベルト:ハンガリー風メロディ ロ短調 D817 (旭川公演のみ)
    〜Ungarische Melodie


5. 谷 篤:編曲

1.王妃ジェーンの死 
    〜The Death of Queen Jane (English traditional Ballad)
2.シェナンドー
    〜 Shenandoah (American folk song) 
3.懐かしきケンタッキーの我が家
  〜 My Old Kentucky Home
  (Stephen Collins Foster・詩/曲 )




谷 篤 ドラマティックリーディング2019+歌
2019年6月
8日(土) 14:30開演 (14:00開場) スタジオスガマタ(新潟公演)
15日(土) 14:15開演 (14:30開場) 網走エコーセンター2000 視聴覚室(網走公演)
22日(土) 19:10開演 (18:50開場) 日暮里サニーホール コンサートサロン(東京公演)
28日(金) 18:40開演 (18:20開場) 三重県総合文化センター第1リハーサル室(津公演)
谷 篤:朗読
ピアノ:山際規子(新潟)/揚原祥子(東京)/前川晶(津)

<歌手によるドラマティックリーディング>

ドラマティックリーディングとは、文章を声に出して読む単なる「音読」ではなく、内容を深く読み取り、声によって劇的、芸術的に文学作品を再表現する朗読です。
 声による芸術表現という意味では、朗読と歌は共通しています。歌には旋律があり、朗読にはないだけとも言えるでしょう。この違いは其々の表現の可能性と限界を相互に照らし出し、豊な表現に至る方向を指し示してくれます。歌うことで培われた声、技術、感性は、朗読表現をより豊かにし得るものです。
 「歌は語るように、語りは歌うように」これは美空ひばりの言葉です。不出生の名歌手が残した表現の神髄。歌うことと語ること、両方を実践してきたからこそ出来る朗読があります。皆様のご来場を心よりお待ちしております。

 デザイン:谷 篤
  

竹内浩三・詩
  宇治山田市(現・伊勢市)吹上町に生まれる。 宇治山田中学校在学中、友人と回覧雑誌を製作。 1940(昭和15)年日本大学専門部映画科入学。 1942年宇治山田中学校時代の友人と同人誌『伊勢文学』創刊。 同年、日本大学を卒業、入営。 1945年4月9日、フィリピン・ルソン島にて戦死。(生死不明)

三ッ星さん/涙も出ずに/冬に死す/あきらめろと云うが/雨
メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルト/口業/愚の旗
ぼくもいくさに征くのだけれど/演習一/望郷/白い雲 (風宮泰生の満州戦病死の報)
うたうたいは/骨のうたう



宵待草  竹久 夢二・詩/多 忠亮・曲
からたちの花  北原 白秋・詩/山田 耕筰・曲
曼珠沙華  北原 白秋・詩/山田 耕筰・曲
この道  北原 白秋・詩/山田 耕筰・曲
以上四曲 谷 篤・編曲
  


鼓くらべ  山本 周五郎
  1903(明治36)〜67(昭和42)年。 山梨県生れ。 本名・清水三十六(さとむ)。 名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。 20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。 その後も多くの賞を固辞し、文芸評論家からへそ曲がりを意味する「曲軒(きょくけん)」と呼ばれた。 江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。
 「お留伊」は鼓の腕前が評判となっている絹問屋の娘。そこに現れる素性の知れぬ老旅絵師。彼はお留伊に、「優劣を争うことなどおやめないまし、音楽は人の世で最も美しいものでございます。」と音楽の価値を説く。彼の言葉にお留伊の心と眼は次第に開かれてゆくのである。身分も境遇も全く違う二人が芸術を通して出会い、互いに気持ちを通わせてゆく、心温まる物語。



谷篤とカオスな仲間たち
2019年5月19日(日) 14:30開演  北見芸術文化ホール・音楽ホール
主催:きょうの音楽を考える会  谷篤:監修

 デザイン:谷 篤

シューベルト 冬の旅 幻想曲 〜 その孤独は今を映す
2019年4月
13日(土)   14:00開演 (13:30開場) 津 リージョンプラザ お城ホール
予約・問合せ:「冬の旅」実行委員会 内海080-5113-1649/このいち芸術舎

谷 篤・バリトン&朗読 / 兼重 直文・ピアノ/兼重 誓子

世間から拒絶された若者が 冬の原野を一人さすらう
居場所を求め 厳しい自然と対峙し
誰とも交わることなく歩き続ける
銀世界の涯に見たものは 絶望と孤独
世に認められることなく逝去したシューベルト
その人生に重なるかのように綴れらた孤独なる魂の軌跡
それは時を超え 人の結びつきが希薄になりゆく今を
暗示しているかのようである
日本語朗読とともに辿る「冬の旅」  そして「幻想曲」 

「冬の旅」について
1827年、フランツ・シューベルトが、最晩年に作曲した24曲からなる連作歌曲集。
 「冬の旅」は、一つの物語の終わりから始まります。一人の若者が、美しい五月にある街にやって来ました。娘と恋に落ち、幸せな夏から秋を過し、結婚まで考えるようになります。ところが娘は心変わりし、別の金持ちとの結婚が決まります。元々よそ者である彼は厄介者となり、冬の夜、人目を避け、逃げるようにあての無い旅に出るのです。これが「冬の旅」の始まり。愛を失った者が苦悩を抱きつつ冬の原野をさまようというお話ですが、失恋は旅を始める単なる切っ掛けにしかすぎません。なぜなら、愛の対象である娘の具体的描写は皆無で、どんな女性かは全く分からないのです。つまり「冬の旅」は、失恋の苦悩を描いた作品ではないとうことです。この作品のテーマは、共同体としての社会から弾き出された者が、自分の居場所を求めて現世をさまよう、その孤独なのです。特に後半になると娘については全く語られず、むしろ「死」が大きな比重を占めてきます。
 「死」が初めて登場するのは 5曲目の「菩提樹」。菩提樹は彼に語りかけます。「ここにお前の安らぎがあるのだ」と。これは永遠の安らぎ、「死」を意味します。彼は死を選ばず旅を続けますが、それは必ずしも彼の強い意志ではありません。突然風が吹きつけてきて、気がつくとずっと遠くまで歩いてしまっていたのです。旅の始まりもそうでした。彼は自分の居場所がなくなり、仕方なく旅に出るのです。社会から弾き出されたいと自ら望む人はいないでしょう。社会が誰かを弾き出すのです。
 この国には年間2万人を越える自殺者がいます。その中には、社会から弾き出され、仕方なく自ら命を絶つ人も少なくないでしょう。また孤独と向かい合いながらも、必死で自分の居場所を探している人も多くいるでしょう。「冬の旅」の孤独は、決して昔の物語ではなく、現代にも通じるものなのです。我々が生きるこの時代は、インターネットをはじめとする情報技術が進化し、その結果コミュニケーショにおける肉体性が失われ、匿名性が無責任さを助長し、人と人との結びつきがかつてないほど希薄になり、自己欲求のために他者を容易に否定する競争社会です。「冬の旅」は、そんな社会に対し警鐘を鳴らし、そこにある絶望的な孤独を慰める力を持った作品です。
 孤独な若者は、死の影を感じ、それを求めながら、「道標」に導かれ、「墓地」へと辿り着きます。彼はその冷たい部屋に永遠に安らぎたいと望みます。でも受け入れられず、彼は更に旅を続けます。そうして誰もいない村外れの雪原で、ただライヤー(民族楽器)を弾き続ける奇妙な老人と出会います。「冬の旅」に登場する唯一の人物。彼はこの老人と運命を共にすることを予感します。「私の歌に合わせてライヤーを弾いてくれるか」という問い掛けで「冬の旅」は幕を閉じます。この物語には終わりがありません。それは現代の我々の孤独へと続いているのです。

デザイン:谷 篤

ハムレット 〜 劇団おしゃれ大学第10回公演
2019年
3月21日(木祝)18:00
22日(金)18:00
23日(土)14:00/18:00
24日(日)13:00/17:00

ワルツホール所沢
前売3,500円/当日4,000円

脚本:W.シェイクスピア/訳:小田島雄志/演出:青柳瑞樹

私は毒された先王を演じます。亡霊として現れ、息子のハムレットに自らの死因である謀略を明かし、復讐を促します。
ハムレットといえば、「オフィーリアの歌」が有名ですが、今回この公演のために私が作曲いたしました。
さらにそのメロディーを使い、先王の歌うシーンをが2ヶ所加えられました。(原作にはありません)
一つは、復讐を誓ったハムレットが、亡霊から聞いた毒殺と同じ内容の芝居を、現王であるクローディアスに見せ、その反応で確証を得ようとするのですが、
その考えに至る独白シーンで、ハムレットの思考を誘うごとく歌いかけます。
もう一つは、自分を毒殺した弟(現王)が、自らの罪の意識に苦悩するシーンで、罪の重さを自覚させるように歌いかけます。
初日の21日は、私が別の公演とぶつかっており、出演できません。
映像で出演します。
 

2018年

ひとときの歌 第18回〜生の黄昏の調べ〜天才たちの白鳥の歌

2018年9月
16日(日)   14:00開演 (13:30開場) 三重県総合文化センター 第1リハーサル室(津公演)

22日(土)   14:00開演 (13:30開場) 神楽公民館 木楽輪(きらりん)(旭川公演) 

24日(月祝)14:00開演 (13:30開場) あばしりエコーセンター2000 エコーホール(網走公演)  

10月
8日(月祝)  14:00開演 (13:30開場) JTアートホール アフィニス(東京公演)                    

谷 篤・バリトン&朗読 / 揚原 祥子・ピアノ

歌曲をもっと身近に、気楽に、存分に・・・・。歌曲の素晴らしさを多くの人に味わって頂きたいという思いからこのシリーズを始めました。
まず日本語訳詩を朗読し、詩の世界を味わって頂きます。朗読は単に言葉の意味を音声で伝えることではなく、言葉の背景やそこに潜む深い心理までをも伝え得る表現です。そこに音楽のインスピレーションをも加味ながら詩を朗読し 、続いて歌曲として聴いて頂きます。

津公演と網走公演に先立って、それぞれレクチャーが予定されています。

・網走:9月8日(土)17:10開場・17:20〜18:50 エコーセンター音楽室

・津:9月15日(土)19:00開場・19:10〜20:40 三重県総合文化センター第一リハーサル室 
 作曲家の最後の作品を「白鳥の歌」と呼びます。これは、白鳥が死を迎える時に特別に美しい声で鳴くという北欧伝説に因んでいます。勿論伝説通りに最後の作品が特別に美しいということではありませんが、その生涯の黄昏に作曲家の心にはいかなる景色が広がっていたのか、その境地を垣間見る事はできるでしょう。ブラームスは掛け替えのない友、そして自らの死を予期しながら、座右の銘であった聖書の言葉を歌にしました。それはまさに辞世の句とも呼べるものです。ヴォルフは内なる狂気に悩まされながら、自ら最上の出来栄えと評した歌曲を書きました。その半年後には精神病院に強制収監され、それが最後の作品となりました。76才のフォーレは、難聴に加え、音程がいびつに聴こえるという苦悩の中、28才で夭逝した詩人の遺作に共感し、現世から逃れゆき果てしない海へと向かう幻の旅を最後の歌曲として結実させました。ラヴェルは脳障害からくる記憶と身体機能の衰えと戦いながら、また資本家の営利主義に立ち向かい、まさにドンキホーテのごとく最後の作品を書き上げました。最愛の人と離別し、精神も肉体も衰弱し、経済的にも疲弊していったショパンは、故郷と家族への思いを募らせ、祖国の舞曲であるマズルカを遺作として残しました。
 今回歌う四つの歌曲集は、いずれもバス、バリトンのために作曲されました。それは詩や言葉の内容から相応しい声として選ばれたのでしょうが、これらの作品を歌えることは、バリトンという声に生まれついた私にとって、とても幸いなことです。そして天才たちが生涯の黄昏に見た精神世界をいかに共有し、表現出来るか、自らが試されるここと身が引き締まる思いです。日本語訳詞朗読を交え、「生の黄昏の調べ〜天才たちの白鳥の歌」を皆様と共に味わうひとときを過ごさせて頂けましたら光栄です。
 そしてSide Bとして、私の編曲による日本歌曲、アイルランド民謡を歌わせて頂きたいと思います。皆様のご来場を心よりお待ちしております。
デザイン:谷 篤

1. J.ブラームス:作曲

四つの厳粛な歌 Op.121
    〜Vier ernste Gesänge

1. Denn es gehet dem Menschen
2. Ich wandte mich, und sahe an Alle
3. O Tod, wie bitter bist du
4. Wenn ich mit Menschen


2. H.ヴォルフ:作曲

ミケランジェロの詩による3つの歌曲
  〜Drei Lieder nach Gedichten von Michelangelo

1.Wohl denk' ich oft
2.Alles endet, was entstehet
3.Fühlt meine Seele das ersehnte Licht von Gott


3. G.フォーレ:作曲

幻の水平線
   〜L'horizon chimérique, op.118

1.La mer est infinie 
2.Je me suis embarque 
3.Diane, Sélènê 
4.Vaisseaux, nous vous aurons aimés

4. M.ラヴェル:作曲

ドゥルシネア姫に想いを寄せるドンキホーテ
    〜Don Quichotte à Dulcinée

1.Chanson romanesque  空想的な歌
2.Chanson épique  叙事的な歌
3.Chanson à boire  酒の歌



5. F.ショパン:作曲

マズルカ ヘ長調 Op.68-4
    〜Mazurka, f moll Op. 68-4



6. 谷 篤:編曲

1.からたちの花  (北原 白秋・詩/山田 山田 耕筰・曲 )
2.曼珠沙華  (北原 白秋・詩/山田 山田 耕筰・曲 )
3.この道  (北原 白秋・詩/山田 山田 耕筰・曲 )
4.スカボローフェアー〜Scarborough Fair (English traditional Ballad)
5.アニーローリー〜Annie Laurie (William Douglas/ Lady John Douglas Scott)
5.春の日の花と輝く〜Believe me, if all those endearing young charm (Thomas Moore / Irish Air)




谷篤とカオスな仲間たち
2018年9月2日(日) 14:30開演  北見芸術文化ホール・音楽ホール
主催:きょうの音楽を考える会  谷篤:監修

 デザイン:谷 篤
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